22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2015年12月

5位決定戦ほどではないにせよ、モチベーションの維持が難しいとされる3位決定戦。広島は千葉和彦、広州は馮瀟霆を出場停止で欠いている影響もあり、互いにメンバーを若干いじってきました。

広島は前半4分にCKの流れからパウリーニョに頭でコースを変えられ、先制点を許してしまいます。元セレソンの決定力の高さには警戒していたはずですが、出ばなをくじかれてしまいました。

以降は押し込まれながらも我慢強く守備をこなしつつ、ミハエル・ミキッチのカットインからの際どいシュートを皮切りに、サイドを使いながら広島が攻め込みます。特に1トップの佐藤寿人に積極的にボールを集めていきました。点で合わせる佐藤のよさが存分に出て、サイドネットを揺らす惜しいシュートもありました。

ただ、決定機をゴールライン際でクリアされるなど広州の守りも固く、前半は0対1で折り返しました。

後半、流れを変えたのは、13分に佐藤に代わって送り込まれたドウグラスでした。これで浅野拓磨を最前線に上げ、ドウグラスはシャドーの位置に入ります。

すると25分、CKがファーサイドまで抜けていったボールをドウグラスが押し込み、同点に追い付きます。これで広島に勢いが出てきました。

追い付かれて勝ち越し点を奪いたいはずの広州は、準決勝の疲れからか足取りが重く、前半ほどの機敏さは見られず、思ったほどは出てきませんでした。広島がひたむきに走り勝てれば勝てる。そういう雰囲気がピッチから漂っていました。

そして残り7分となったところで、ミキッチと交代して入ってきた柏好文のクロスに浅野が合わせるもクロスバーをヒット。こぼれたボールに詰めていたドウグラスが、高い打点で合わせて待望の逆転弾を決めました。

追い込まれた広州はパワープレーを仕掛けてきましたが、広島はいつものように粘り強く跳ね返し、ボールをキープしつつ試合をクローズさせました。

試合のプライオリティは決して高かったとは言えないかもしれませんが、一発勝負の公式戦でアジアの巨人、広州恒大を下した――。単に3位決定戦に勝ったということ以上に、その価値は大きいものだったと言えるでしょう。


ウォーミングアップの衝撃は今でも忘れられません。ハーフコートに3人組で大きな三角形をいくつもつくり、それらが重なり合っている中、ボールが渋滞することなくパスを交わすバルサの選手達――。そのハイレベルで異次元の光景が信じられず、我が目を疑いました。4年前、2011年の横浜国際総合競技場でのできごとです。

あの時、前線からの労を惜しまぬ激しいプレッシャーと、ネイマールを完璧に封じたカルレス・プジョルのディフェンス、そして中盤での容赦ないパスの連続でサントスを完膚なきまでに叩きのめしたえげつなさは、今回の決勝でのバルサには見られませんでした。

理由としては、今回は負傷者を除くベストメンバーで中2日の試合を戦った疲れがあったかもしれません。前回は準決勝でややメンバーを温存して決勝に備えていました。

確かにアクロバティックなシュートを決めたリオネル・メッシの抜群のキープ力と視野の広さ、ネイマールの果敢な仕掛け、2ゴールを決めたルイス・スアレスの圧倒的な破壊力はすさまじいものがあります。世界最強の3トップ、MSNの攻撃力は申し分ありません。

またジェラール・ピケ、そして選手紹介の時にリーベルのサポーターから歓声が上がったハビエル・マスチェラーノ、さらにはクラウディオ・ブラボの守備における安定感もさすがでした。

それでもまだできるのではないか、という思いが90分間拭えずにいました。もちろん、低い位置でブロックを敷かず、3点差をつけられても心が折れることなく、最後まで攻め続けたリーベルの奮闘も影響したとは思います。それを認めつつも、バルサはこんなものではないような気がしてなりませんでした。

とはいえ、名実ともに世界最強のチームのサッカーを日本で観られたこと。そのかけがえのない90分間は貴重で、そして喜びをもたらしてくれるものでした。


110分間、互いに決定機をつくりながら惜しくもスコアレスドローに終わり、PK戦までもつれた激闘は、仙台が勝利を収めて等々力陸上競技場行きを決めました。

浦和は前半半ばまで積極的に攻め立て、仙台を押し込んでいました。前半12分には岸川奈津希がターンして川村優理をいなしてパスを前線に送り、猶本光がシュートを打ちます。ただ、ここは軸足が滑ってしまい、ミートできませんでした。

19分には柴田華絵が川村に倒されて得たFKを猶本が蹴りました。壁の横を抜けていったボールは、ブリトニー・キャメロンが弾き出します。

仙台が反撃に出たのは、28分の有町紗央里のミドルシュートがきっかけでした。ここから攻撃に転じ、中野真奈美のCKからチャンスを生み出します。

30分、ショートコーナーを井上綾香がコースを変えて川村がシュート。強烈な一撃はポストを直撃しました。さらに33分、今度はDFをうまく外したフリーの坂井優紀に合うも、枠をとらえられません。

一方、後半開始間もない5分には、右サイドで粘った吉良知夏のパスを受けた猶本が、冷静にキャメロンの頭上を狙うやわらかいシュートを放ちました。ボールは惜しくもクロスバーを叩きます。

しかし試合の流れはわずかに仙台の方がつかんでおり、懸命のディフェンスで浦和の攻撃を封じながら、次第に2トップがシュートに持ち込むシーンが増えていきました。井上は後半の45分間に3本のシュートを放ち、有町は31分にキャメロンからのロングボールに抜け出してループシュートを打ちました。

10分ハーフの延長に入ってからは、互いにビッグチャンスをつくります。まずは仙台が延長後半7分、セカンドボールを拾った井手上麻子のクロスに川村と浜田遥が飛び込みプッシュ。これはオフサイドの判定でした。

逆に直後の8分には、長野風花のストレート系のクロスを後藤三知がスルー。吉良が合わせるも、ボールはキャメロンの正面でした。結果、延長戦を戦っても決着はつかず、PK戦に突入しました。

浦和は二人目の猶本のキックをキャメロンが完璧なセーブで阻止したのに対し、先行の仙台は最終キッカーの井上を含めて全員が成功。前半終了間際に万屋美穂が右膝を痛めてピッチを後にするアクシデントがありながらも、最後までしぶとく戦って準決勝に駒を進めました。


最初のシュートは千葉でした。前半5分、ペナルティエリアでボールを受けた川村真理が中村楓をかわして打っていきます。ここを福村香奈絵が防ぐと、セカンドボールを拾った瀬戸口梢のシュートも北原佳奈がブロックしました。

新潟は守備のバランスを整えながら、タッチ数の少ないパスで打開を図ります。17分には山田頌子、山崎円美、大石沙弥香、そして再び山崎へとダイレクトで繋がりフィニッシュ。惜しくもサイドネットを揺らします。

さらに27分には山田の縦パスに山崎が抜け出し、山根恵里奈と1対1の局面を迎えました。しかし、山根に阻まれ、先制のチャンスを逃します。

千葉は粘り強さを見せながら、なでしこリーグ得点女王の菅澤優衣香にボールを集めるものの、北原を中心とした新潟守備陣に封じ込まれてしまい、オープニングシュート以降は決定機がつくれずにいました。

ところがエンドが変わると、一気に千葉がペースを握ります。後半2分、上野紗稀が最終ラインの背後を狙ったクロスを上げると、筏井りさが反応。しかし福村が勇気をもって体を寄せてブロックします。

9分には新潟の連係ミスを拾った筏井がダイレクトで落とし、保坂のどかがシュートを放ってポストをヒットしました。

たびたびピンチを招いて防戦一方だった新潟が反撃に出たのは、23分のことでした。山田と小島美玖で右サイドを崩すと、一旦は磯金みどりがクリアしますが、山崎がセカンドボールを確保。粘って川村をかわしてシュートを放つと、磯金に当たってラインを割りました。

これで得たCKで上尾野辺めぐみがアウトスイングのボールを蹴ると、櫻本尚子の足に当たったボールが後方に転がり、こぼれ球を佐伯彩が押し込んで新潟が先制します。山根も体を投げ出していったものの、及びませんでした。

以降は上尾野辺のプレースキックから何度かチャンスをつくっていましたが、仕上げは41分。千葉陣内深いところからの山崎のスローインを受けた上尾野辺が、鮮やかにヒールを使って櫻本をかわすと落ち着いてマイナスのクロスを入れ、最後は大石が蹴り込み、リードを2点に広げます。

直後、瀬戸口のFKがクロスバーを直撃するという危ない場面もありましたが、このまま逃げ切った新潟がベスト4に勝ち上がりました。準決勝進出の立役者はやはりキャプテンの上尾野辺でした。前半はややおとなしかった背番号10でしたが、後半は全得点に絡む活躍を見せてチームを勝利に導きました。


バルセロナは試合開始からゆったりとかつ圧倒的にボールを支配し、広州の守備の穴を探してボールを動かしました。その中心になったのは、アンドレス・イニエスタでした。依存し過ぎではないかと思われるほど、イニエスタにボールが集まり、そこからラストパスが供給されます。

前半23分にはそのスルーパスにムニル・エル・ハダディが抜け出し、シュートを打ちました。ここは李帥が判断よく飛び出し防ぎます。

広州はボランチのパウリーニョがイニエスタに、鄭智がイバン・ラキティッチにつき、ブロックを敷いて応戦しました。そしてカウンターに活路を見出そうとしますが、6分、12分の攻撃はいずれもハビエル・マスチェラーノに阻止されてしまいました。

試合が動いたのは39分でした。一時的にパウリーニョと鄭智のマークする相手が逆になってから少しして、イニエスタにボールが渡り、中央に持ち込もうとした時にパウリーニョも潰しに行ったため、ラキティッチがフリーになります。そこでイニエスタからボールを受けたジョルディ・アルバがラキティッチに預けると、クロアチア人MFは迷わず右足を振り抜きます。強烈な無回転シュートは李帥が止めましたが、ルイス・スアレスが押し込んでバルサが先制しました。

それでも直後、アジア王者が鄭龍のプレースキックからチャンスをつくります。41分にはFKにエウケソンが、44分にはCKからパウリーニョが頭で合わせてゴールを狙いました。ただ、クラウディオ・ブラボの好セーブとジェラール・ピケのヘッドによって防がれてしまいました。

こうして試合は最少得点差で折り返すことになりましたが、後半開始早々の5分にイニエスタのリターンを受けたスアレスがトラップから流れるようにシュートを決めて、バルセロナがリードを広げます。いい時間帯に加点して、広州の選手達の気持ちを削ぐことに成功しました。

さらに21分、ダニエウ・アウベスのノールックパスを受けたムニルが、黄博文に倒されたとしてPKの判定が下されます。これをスアレスが豪快に蹴り込み、クラブワールドカップ史上初となるハットトリックを達成。試合を決定づける1点が決まりました。

ルイス・エンリケ監督はそこからようやく選手交代を開始します。36分にイニエスタを下げるまでにかかった時間はわずか9分。一気に3人を入れ替えました。

その後は代わって入ったサンドロ・ラミレスやスアレス、セルヒオ・ブスケツ、ムニルがシュートを放ちますが、得点には至らず、3対0で試合は終了しました。バルサは確実に勝利を収め、楽々と決勝に駒を進めました。

広州は流れの中ではいいところがなく、パウリーニョ以外は目立った動きをした選手がおらず、右SBの張琳凡の効果的な攻め上がりも見られませんでした。アジアではビッグクラブと呼ばれるチームが、公式戦においてこれほどまでにほとんど何もできなかったというのは少々残念ではあります。


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