22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2015年08月

出だしは上々でした。前半3分、相手の中途半端なパスを谷口彰悟がカットすると、右サイドでフリーの遠藤航に預け、遠藤は素早く低いクロスを入れ、武藤雄樹が合わせて先制しました。

その後は何度かペナルティエリア内に攻め込まれるピンチを迎えたものの、大事には至らず、逆にテンポ良いボール回しを見せながら、さかんにシュートを放って北朝鮮を脅かしました。

特に24分の川又堅碁と44分の永井謙佑のシュートシーンは決定的でした。前者は森重真人からの鋭い縦パスが一気に前線の武藤に通り、それがフリーの川又に渡ると左足に持ち替えて振り抜きました。これはリ・ミョングクにセーブされます。

後者は、武藤が高い位置で体を入れてチャン・グクチョルからボールを奪い、宇佐美貴史に任せると、宇佐美はファーサイドでフリーの永井にラストパスを供給します。永井は絶好のチャンスを大事にしたかったのか、ゆっくりトラップしてからシュートを打ちました。打ったタイミングが遅れたため、カン・グクチョルにブロックされました。

ただ、こうしたチャンスをつくってはいましたが、日本の運動量は徐々に落ちていきました。おそらく大会直前まで行われたJリーグの過密日程と武漢の会場の暑さが影響しているのでしょう。

必然的に後半は防戦一方となっていきます。守備陣が懸命にクリアしたボールをことごとく拾われ、ほとんど休む間もなくボールキープもできません。

なんとか後半18分にはカウンターから途中出場の柴崎岳が、19分には山口蛍のクイックリスタートから永井がシュートを放つもゴールネットを揺らすことはできませんでした。

すると21分、非常に背の高いFWパク・ヒョンイルが投入され、北朝鮮の放り込みサッカーの迫力が増します。

この交代が最初に実を結んだのが、33分でした。自陣でのFKでシム・ヒョンジンがロングボールを入れると、ペナルティアークにいたパク・ヒョンイルが森重に難なく競り勝って落とします。それをリ・ヒョクチョルがダイレクトで合わせ同点に追い付かれます。

さらに43分、バイタルエリアで日本のお株を奪うようなリズミカルなパス回しを見せ、最後はチョン・イルグワンが打ちますが西川周作がブロックします。ただ、こぼれ球を浅野拓磨が生かせず、スローインを与えてしまいました。

このスローインの流れからカン・グクチョルがクロスを上げると、パク・ヒョンイルが打点の高いヘッドを決め、ついに逆転されました。大柄のFWには槙野智章がついていましたが、完全に抑え込まれて高く飛ぶことができませんでした。

結果、疲れている上に逆転負けという、心身ともにダメージの大きな試合となってしまいました。1週間で3試合というタイトなスケジュールを乗り切って、勝ち点3を積み上げていけるかどうか。その難しさを感じさせる90分でした。

女子ワールドカップの主力は休ませるという賢明な判断のもと挑んだ大会初戦は、ラ・ウンシム擁する北朝鮮に2対4で敗れてしまいました。

日本は前半、二度のピンチを迎え、それがいずれも相手寄りの判定だったため、特に自陣での守備にはナーバスになってしまいました。

最初のピンチは前半22分。杉田亜未の中途半端な横パスをカットされ、カウンターを食らいます。ペナルティエリアまで進入されると、右SBを任された京川舞がタックルで止めに行きました。それは悪質なものには見えず、足はボールに行っているように見えましたが、オーストラリア人レフェリーの判定はPKでした。

しかし、キム・ウンジュのPKは山根恵里奈がストップし、先制を許しません。

二つ目はその13分後、再びカウンターを許し、ペナルティエリアのすぐそばで高畑志帆が体を寄せてキム・ユンミを倒すと、これがFKの判定となりました。36分、ユン・ソンミのFKをリ・エギョンが合わせて、とうとう失点してしまいました。

なでしこジャパンにもチャンスがなかったわけではありません。42分には自陣でのビルドアップから相手を押し込み、最後は高良亮子のクロスに有町紗央里が頭で合わせました。ここはホン・ミョンヒに防がれました。

後半、佐々木則夫監督は選手交代を行わず、高良を左から右のSBに、京川を左MFに、上尾野辺めぐみを左SBに変えることで、状況の打開をはかりました。

すると後半4分、上尾野辺のFKを増矢理花がトラップからシュートを決め、同点に追い付きます。菅澤優衣香が相手ディフェンスを引き付けたため、増矢がフリーになりました。

得点によって日本にリズムが出てきましたが、なかなか縦に激しくいけない時間が続きました。そうこうしているうちに、逆に徹底して縦に速いサッカーを続ける北朝鮮に勝ち越されてしまいます。20分、キム・ユンミがスペースに出したボールをラ・ウンシムがキープし、ディフェンスを引き付けると、後方から走り込んだリ・エギョンが体を倒しながらゴールを決めました。

5分後に杉田の強烈なミドルシュートでまたもや同点になりはしましたが、34分、36分と立て続けにエリア内でボールを受けたラ・ウンシムにゴールを許してしまいます。いずれも日本は最後のところの寄せが甘く、前半のようにPKになるのを恐れたのか、体の投げ出し方も中途半端でした。

佐々木監督はフジテレビのインタビューに対し、終盤の失点は「僕のせい」だったと選手をかばいました。次の韓国戦までにどこまで立て直せるかが、勝利への鍵となるでしょう。

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