前半5分、フアン・マタのパスをナセル・シャドリがカットすると、すぐさまハリー・ケインに渡します。中央でフリーのケインは落ち着いて浮き球をユナイテッド守備陣の背後に供給しました。そこへ走り込んだクリスティアン・エリクセンが頭でトラップしたのち、セルヒオ・ロメロの頭上を越すシュートを打ちます。ボールは惜しくもクロスバーを越えてしまいました。
12分にはムサ・デンベレがモルガン・シュナイデルランからボールを奪い、それを受けたエリクセンがケインにラストパスを送ります。ケインはやや角度のないところからシュートを放つと、ダレイ・ブリントに当たってCKを獲得しました。このCKの流れから、ケインは体勢を崩しながら強引にシュートを打っていきました。
こうして押され気味のユナイテッドでしたが、最初の決定機を得点に結び付けます。22分、ナビル・ベンタレブのパスをマタがカットして、メンフィス・デパイに預けます。デパイは前方のアシュリー・ヤングにパスを送り、ヤングはダイレクトでウェイン・ルーニーにラストパスを供給しました。フリーだったルーニーは落ち着いてトラップをしてからシュートを打とうとしましたが、懸命に戻ってきたカイル・ウォーカーが先にボールを触り、自陣のゴールに蹴り込んでしまいました。
先制点を契機にペースはユナイテッドが握るようになります。ゴールを脅かすほどのシュートこそさほど多くはなかったものの、ヤングやルーニーが積極的にクロスを供給しました。
トッテナムは逆にボールを持っていても、ユナイテッドの守備網を前に手詰まりになってしまい、どうしても遅攻になってしまいました。序盤の勢いは完全に失っています。46分には遠い位置からのFKのこぼれをトビー・アルデルバイレルトが狙いましたが、ロメロにキャッチされました。
後半に入ってもスパーズの手詰まり感は続き、なかなかチャンスをつくれません。ユナイテッドのロメロと最終ラインとの連携は覚束ない状態でしたが、その隙をつけないまましばらく時間は流れていきました。
ようやくそこを突いてCKのチャンスを得たのは、後半34分でした。右サイドのスペースに出たボールをベン・デイビスが追うと、クリス・スモーリングがロメロに任せようとしたものの、ロメロが飛び出さず、スモーリングが必死でクリアすることとなりました。これにはオールドトラフォードの観客がざわつきました。
少しずつ流れを取り戻し、43分にはやや遠い位置からのFKでエリクセンがゴール前に放り込むと、ケインと競り合ったスモーリングの頭に当たり、ボールはゴールに向かっていきます。ここはロメロが片手で弾きました。
その後もセカンドボールを拾い続けたトッテナムは、ケインの落としをエリク・ラメラがキープし、ペナルティアーク付近でフリーだったエリクセンに任せます。エリクセンの低い弾道のシュートは、またしてもロメロが防ぎました。
こうして難を逃れたユナイテッドは、ルーニーが前線でボールをキープして試合を終わらせました。決定機の数は相手より少なく、決して楽な試合だったとは言えませんが、ユナイテッドはとりあえず開幕戦を勝利で終えました。この試合ベンチ外だったダビド・デ・ヘアの移籍問題の解決あるいはロメロと最終ラインの連携の向上、そして後半15分に投入されたバスティアン・シュバインシュタイガーがチームになじんでフィットするようになれば、もう少し優位に試合を進められるかもしれません。