22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2015年07月

特筆すべきプレーのないまま序盤は時間が経過していましたが、フランシスコ・サンダサが右サイドで倒されて得たFKから先制点が生まれました。前半9分、太田宏介の鋭いFKを森重真人が頭で合わせ、ゴールネットを揺らしたのです。

続いて23分、富田晋伍からボールを奪った野澤英之が前田遼一にパスを送ると、前田は鎌田次郎を強引に抜いてフィニッシュ。34分にも前田がセンターサークルで鎌田のパスをカットしてドリブルをスタート。並走するサンダサを見る余裕を持ちながらゴールへ向かい、戻ってきた鎌田をいなし、体を投げ出した六反勇治の上を越すシュートを冷静に決めました。

前半だけで3失点を許した仙台は、攻めあぐねるシーンが多くて、フィニッシュへの意識も低く、東京が最終ラインでゆっくりボールを回し続けても相手を慌てさせるようなプレスをかけることはなく、好守において覇気のない45分間でした。

さすがにそれではまずいということで、奥埜博亮と二見宏志を同時投入した後半は、激しさを増して積極的なプレーをするようになりました。そして、この日は普段にくらべて明らかに動きが少ない太田のサイドを狙って仕掛けていきます。

すると後半23分、13本のパスを繋ぎ、東京の中盤とDFの間で受けた金久保順が、ペナルティアーク付近までボールを持ち込んでシュート。権田修一も反応しましたが、シュートスピードが速く、間に合いませんでした。

スコアはこのまま動かず、後半は東京にゴールが生まれませんでした。とはいえ決定機がなかったわけではありません。14分には自陣でボールを拾った徳永悠平が、米本拓司、石川直宏の二人とワンツーを決めて独走。ペナルティエリアまで運びましたが、シュートは六反に防がれてしまいました。

ほかにも37分にはカウンターを仕掛け、橋本拳人のスルーパスを猛ダッシュして抜け出した石川がダイレクトで合わせるも、ボールはサイドネットをかすめていきました。

これらの絶好機を生かせていれば言うことなしですが、とにもかくにも確実に勝ち点3を獲得。年間順位は3位で中断期間を迎えることとなりました。

ピッチの荒れたノエスタを離れ、高知で行われたINACのホームゲームは、2対1でINACの勝利に終わりました。

前半1分、伊藤香菜子が自陣でボールを奪うと、仲田歩夢に預けます。仲田は左サイドを独走し、一気に埼玉陣内を突き進みます。その後、高瀬愛実とのワンツーを決め、クロスを上げます。ボールはファーサイドに流れ、川澄奈穂美が折り返すと、奈良美沙希のクリアが不完全になり、高瀬のもとに落ちました。高瀬が迷わずシュートを放つと、それが松岡沙由理に当たってコースが変わり、船田麻友の頭上を越えて決まりました。

先制して意気上がるINACは、エルフェンを圧倒します。14分には、伊藤香菜子のパスを受けた川澄がカットインして大野忍とワンツーを成功させると、GKと1対1になりシュートを打ちます。ボールは船田の体に当たって、ポストを叩き、追加点はなりませんでした。

その後も攻め続けるホームチームでしたが、埼玉は最終ラインを高く保っていたため、しばしばオフサイドに引っかかったり、深い位置まで攻め込んでも人数をかけた守備を崩しきれずにいました。

逆にエルフェンは、積極的に攻める右サイドの薊理絵を中心に反撃を試みましたが、前半はノーゴールに終わります。

ハーフタイム明けには両チームとも2枚同時に交代し、INACは若い増矢理花と京川舞を、埼玉はサラ・グレゴリアスと萩原愛海を送り込みました。互いに攻撃を活性化させるためのカードを切ったのです。ともに交代策は成功し、4人全員が目立つ展開になっていきました。

後半15分、サラが三宅史織に倒され、FKのチャンスを得ます。これを高野紗希が蹴って同点に追い付きます。ボールは海堀あゆみが触りましたが、後方のクロスバーに当たってゴールラインの内側に落ちました。女子ワールドカップでの嫌な失点シーンを思い出させるようなゴールでした。

しかし失点から1分後の17分、再びINACがリードしました。まず甲斐潤子のロングボールに反応した大野が奈良との競り合いで粘り、後方に落とします。そこへ走り込んできた増矢のシュートは堰愛季にブロックされますが、こぼれ球を京川が押し込み、ゆっくりとした速度でゴールネットに到達しました。

何とか同点に追い付こうと、エルフェンは萩原の精度の高いミドルレンジのパスを生かして攻めますが、32分のカウンターが不発に終わるなど、なかなかゴールに近づけません。

それでも46分には決定機をつくりました。高野が相手エリア近くでキープしてINACの選手を引き付け、薊にパスを送ると、薊は切り返して三宅を振り切りクロスを供給します。ゴール前で待ち構えていた高橋彩織がダイレクトで合わせましたが、ミートせずクリアされてしまいました。

あわやというピンチを凌いだINACは、1点リードを保って辛くも勝ち点3を獲得しました。

試合が動いたのは、前半12分でした。それまで右サイドを中心に攻められ、ヴィッセルに優位に立たれていたガンバでしたが、ファーストシュートを得点に結び付けました。決めたのは、しばし高い位置でボールを要求していた遠藤保仁です。

スローインから30秒近く後方でボール回しをしたあと、今野泰幸が鋭い縦パスを入れます。ボールは宇佐美貴史、リンスを経由し、ようやく遠藤に到達。すると蹴りやすい位置にボールを前に出して、美しく弧を描いたシュートを放ちます。山本海人は懸命に手を伸ばしますが、ちょっと触れるのが精一杯でした。

さらに、タイトな日程で戦うガンバに好材料が生まれます。24分、ルーズボールを奪いに行った阿部浩之に対し、相馬崇人が足の裏を見せてタックルしたとして退場処分を受けたのです。これで神戸は10人で戦わざるを得ず、3バックの左を任されていた高橋祥平を左SBにスライドさせ、3-4-2-1から4-4-1のシステムに変更しました。

神戸はカウンターを仕掛けようにも、前線の枚数が足らず、パスの受け手を探すシーンも目立っていました。結局、41分には高橋祥平を下げ、左SBを本職とする安田理大を投入することになります。

しかし数的不利でもゴールを奪いやすいセットプレーで、ガンバは同点に追い付かれます。48分、チョン・ウヨンのCKを渡邉千真が折り返し、増川隆洋がダイレクトで合わせてゴールを奪いました。マークに付いていた岩下敬輔が増川を外して、渡邉に気を引き付けられたため失った1点でした。

後半は互いにカードを切るものの、スコアが動かないまま時間が経過し、30分頃にはオープンな展開になりました。そんな中、後半序盤のシュート以降、消えていた宇佐美が試合を決めます。

32分、ルーズになったボールを遠藤が背後に落とし、走り込んだ宇佐美は神戸守備陣のタイミングを外して、鮮やかなコントロールショットを打ちます。ボールはポストに当たって、ゴールネットを揺らしました。

終盤、長谷川健太監督は大きな仕事をした宇佐美に代わって、明神智和を投入。中盤の守備の安定化を図りました。44分のCKでは攻めずにキープを選択。一方、パトリックは馬力のあるドリブルとキープ力を生かし、攻めの姿勢を見せて、うまく時間を使います。

それでもアディショナルタイムにはガンバの選手の足は止まりかけたため、体を張った守備で凌がざるを得なくなります。幸い石津大介の2本のシュートは、東口順昭の正面だったため難を逃れます。

試合はこのまま終了。ガンバは4試合ぶりの勝利を収めました。タイムアップ直後、カメラがとらえた長谷川監督の安堵の表情が、苦しかった試合展開を物語っていました。

最初にチャンスをつくったのは、山形でした。この日先発起用された中島翔哉がロメロ・フランクを倒して得たFKで、宮阪政樹がすばらしい弾道のボールを蹴ったのです。残念ながらゴールポストに嫌われ、先制のチャンスを逸しました。

その後はブロックを敷いたタイトな守備で、東京を手こずらせます。東京のチャンスは、選手の配置を変えて4-3-3にした直後でした。

前半22分、ルーズになったボールを米本拓司がダイレクトで前田遼一に繋ぐと、最終ラインの背後に抜け出た中島翔哉に向けてスルーパスが出ます。中島はGKの山岸範宏とほぼ1対1の状態になり、冷静に浮かせたシュートを放ちました。ところがボールは枠を外れていきました。

26分には太田宏介のクロスに高橋秀人が、29分には3トップで崩して中島がシュートを打ち、いいリズムが東京に生まれていきます。

しかし、ここからホームチームに試練が訪れます。30分、中盤でのボールの奪い合いの中で梶山陽平が當間建文と接触して左足を痛め、5分あったアディショナルタイムで太田も離脱。マッシモ・フィッカデンティ監督は、前半だけで2枚のカードを切らざるを得ませんでした。

そんな中でも前半50分には、自陣からのカウンターで前田からボールを受けた石川直宏がヒールでゴールを狙います。ここは宇佐美宏和に阻まれてしまいました。

後半に入っても東京の攻勢は続き、2分には石川のCKをフリーになった前田が頭を合わせ、4分には羽生直剛がシュートを打ちましたが、これらは山岸に止められてしまいます。

さらに勢いを増そうと、フィッカデンティ監督は12分、中島に代えてフランシスコ・サンダサを投入します。すると早速、14分に石川のクロスにサンダサがボレーで合わせるシーンが生まれました。

その後は山形の人数をかけたカウンターを警戒しつつ、システムを4-4-2に戻して対応していた東京でしたが、さらなるアクシデントに見舞われます。

23分、石川竜也のFKの際、パンチングに出た権田修一と高橋がまともにぶつかってしまい、高橋は鼻から出血するなど危うい状態に陥りました。すでに交代枠を使い切っていた中での事故です。それでも4分後に高橋はピッチに戻り、プレーを続けました。

依然としてスコアは動いていなかったものの、消耗は激しく、苦しい状況に追い込まれていた東京でしたが、サンダサが積極的に絡んでチャンスをつくりました。

35分にはサンダサの当たり負けしない力強い突破から、右サイドの徳永悠平へと渡り、最後は逆サイドを走っていた石川がフリーで打てるチャンスが到来。しかしボールはクロスバーを越えていきました。

また7分あったアディショナルタイムでは、ペナルティエリアでボールを受けたサンダサが、振り向きざまにシュートを放ちました。

結局、これも山岸に難なくキャッチされ、試合はスコアレスドローに終わりました。ただ、勝ち切れなかったとはいえ、たくさんのアクシデントが訪れたにも関わらず、久しぶりに無失点に抑えることができましたので、決して悪くはない勝ち点1獲得となりました。

関東地方の梅雨明けが宣言された19日、『キャプテン翼』のイベントが東京ドームシティホールで催されました。

当初の予定では開場してしばらくしてからフラッと行って、一通りのぞいて帰るつもりでいましたが、その目論見は入場前に覆されました。係員によって入場規制がかけられており、入口前には何度も折れている長蛇の列ができていたのです。

それでも列の進みが悪くなかったので、並んでみました。列に並ぶ人々を見ると、『キャプテン翼』全盛期に夢中になった父親が、サッカー好きな、あるいはサッカーをしていると思しき少年を連れている姿が目立ちました。中には、大空翼が所属するバルセロナやアーセナル、ミラン、FC東京のレプリカを着ている男の子達もいました。

待つこと約30分、ようやくホール内に入ることができました。そして再び裏切られました。

イベントのオフィシャルサイトでは、アリーナで行われるアトラクションとそれを2つクリアしてできるロボキーパー若林源三とのPK対決、さらにはキッズを対象としたサッカースクール、ステージでのトークショー、抽選会くらいしか事前に紹介されていませんでしたので、ほかには何もないイベントだと思っていたのですが、そうではありませんでした。親子連れが多いだろうという運営側の予測のもと、さまざまな展示やゲームなどがアリーナの外のバルコニーで展開されていました。

キッズ向けには、地下3階で縁日のようなコーナーが設けられ、石崎了の顔が描かれたたくさんの的を射ぬく「顔面ブロック射的」や「翼くんヨーヨー釣り」、「ピンポイントパス輪投げ」などがあり、にぎわっていました。

一方、大人向けには原画や懐かしのグッズ展示が用意されていました。原画はファーストシリーズを中心に飾られていて、ガラスケースの中には作品序盤、翼が高い丘の上からボールを蹴って、若林の家に「ちょうせん状」を送りつけるところまでのカラー原画が抜粋されて展示されていました。

懐かしのグッズは画用紙やキッズ向けの簡単なジグソーパズル、塗り絵、文具セット、それに「ガッツがたりない!」でおなじみのファミコン用ゲームソフトのパッケージとカセットなどが見られました。入口でもらった『イベントガイド』によると、「高橋先生所有のレアグッズ」だったそうです。

メインのアリーナに用意されたステージでは、高橋陽一先生や前園真聖ほかによるトークを一部見ることができました。その中で高橋先生が『キャプテン翼』のキャラクターを現在の日本代表選手に置き換えると誰が誰にあたるかという質問に答える場面があり、「若林くんは川島選手、日向くんは本田選手……」と続き、最後に「岬くんはイケメンなので内田選手」と話していました。

この岬=内田説は何だかしっくりきました。そういえば『Number PLUS スポーツマンガ最強論』で、表紙を飾っていたのが翼と内田篤人のツインシュートでした。あの合成がはまっていたのは、作り手の努力もさることながら、人選がマッチした結果なのでしょう。

そしておそらく今回のメインと思われるのが、ネットニュースでも取り上げられているパチンコ『CRキャプテン翼』の展示です。しかし展示自体は地下1階で思ったよりはひっそり行われていました。サッカーにちなんでか11台並んでおり、大人達がその演出を食い入るように見ていました。

無料にしてはなかなか見どころ、遊びどころの多い楽しいイベントでした。パチンコのストーリーに入っていなさそうな『ワールドユース編』以降の展示もたくさんあれば言うことなしでした。いずれにしても、この盛り上がりを受けて連載中の『キャプテン翼 ライジングサン』がさらにおもしろく、活気づくことを期待しようと思います。

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