22インチのフットボール

備忘録を兼ねて試合を振り返ります

2015年04月

先制されても落ち着いていた広島が、今シーズン3度目の逆転勝ちで勝ち点3を獲得。4位に浮上しました。

ゴールを許したのは前半4分。ドリブルを仕掛けた齋藤学のアウトサイドでのパスからアデミウソン、伊藤翔と繋がり、伊藤のシュートが右ポストを直撃してゴールネットを揺らしました。

8分にも齋藤の突破を塩谷司が許し、シュートを打たれる場面がありましたが、林卓人が防ぎます。

広島がこの試合のプランを明確に出してきたのはここから。J1初先発という比嘉祐介のサイドを徹底して狙いにいきます。それを任された柏好文は、サイドの攻防を制してしきりにクロスを上げます。

18分には森崎和幸のパスを受けて、ドウグラスのヘッドに繋げ、21分にもカウンターでドウグラスからパスを受け、柴崎晃誠にクロスを供給します。

こうして左サイドを中心に攻めていましたが、同点弾は逆サイドから生まれました。26分、再びカウンターで横浜陣内に攻め入ったミハエル・ミキッチが、間合いを詰めてきた下平匠と喜田拓也の間を通すパスを出し、ファビオも止めることができずドウグラスに繋がります。ドウグラスは冷静に左足でゴールをゲットします。

その後もペースを握った広島。前半の終わりには前線からプレスをかけてこない横浜を見て、最終ラインでスローなパスを使って時間を消費します。そうこうしているうちに前半最後の笛が鳴り、1対1で折り返しました。

後半が始まると、スローなボール回しをさせまいと横浜が前からプレスをかけ始めますが、決して慌てません。相変わらず左サイドを使った展開が続きます。

さすがに耐えられなくなったか、エリク・モンバエルツ監督は後半18分、比嘉に代えて中村俊輔を送り込みます。比嘉のポジションは兵藤慎剛を下げて任せました。

これで横浜がペースを握り返すかに思われた21分、広島が勝ち越しゴールを奪います。ミキッチが下平に倒されて得たFKを柴崎が蹴り、塩谷と中澤佑二が競ってこぼれたボールを水本裕貴がシュート。榎本哲也がセーブしますが、こぼれ球に反応した佐藤寿人が押し込みました。役目を果たした佐藤は直後に浅野拓磨と交代しました。

終盤は主に中村とアデミウソンが絡んで広島ゴールを脅かそうとしますが、守備陣の頑張りで難を逃れました。最後のCKからの攻撃も守り切り、2対1で勝利を収めました。

前半がまったりと推移した一戦は、柏の逆転勝ちに終わりました。

川崎はエウシーニョが右サイドバックのさらに横の深い位置に立ち、レナト、大久保嘉人、小林悠が3トップになるような変則的なシステムで柏を迎え撃ちました。しかし思うように試合の主導権を握るには至りません。重心がやや低いせいか、中村憲剛のパスを出す位置も甲府戦よりはゴールから遠くなっています。

先制点こそ前半43分に中村のFKから谷口彰悟のヘッドで奪いますが、3分後に同点に追い付かれます。大谷秀和からパスを受けた武富孝介がターンで中村を振り切り、ドリブルで持ち上がると、川崎DFをものともせずシュートを決めたのです。嫌な形で前半を折り返すことになりました。

気持ちを切り替えて臨んだはずの後半開始直後の3分には、逆転弾を許します。レアンドロがキム・チャンスとのワンツーを決めてクロスを上げると、谷口を外した工藤壮人が頭で合わせました。

後半14分にもレアンドロからのパスを受けたキム・チャンスが、DFとGKの間を狙った絶妙なラストパスを供給。再び工藤が合わせて3点目を奪いました。ここは西部洋平と武岡優斗の対応もよくなかった場面でした。

そこで風間八宏監督はぽっかり空いていたトップ下に船山貴之を、最前線には高さのある杉本健勇を送り出し、得点を取りに動きます。

ところが守備時には4-1-4-1になる柏の壁は厚く、ゴール近くでの密集したディフェンスを崩すことができず、ミドルシュートを打つこともままなりません。かといって杉本を生かすような強引なパワープレーを仕掛けはしませんでした。

すると36分、自陣ペナルティエリアでボールを奪った柏がカウンターを開始。途中投入のクリスティアーノが大島僚太をかわして突き進みます。そして工藤とのワンツーでフリーのクリスティアーノが試合を決める一撃を放ちました。

川崎は終盤になって運動量が落ち、打開する術を見いだせずタイムアップを迎えてしまいました。エースの大久保が目立つシーンはほとんどなく、1対4のスコアが妥当に感じられる90分となりました。

ポゼッションでは劣勢だったチェルシーが、最後まで守り抜き勝ち点1を獲得しました。

オスカルを最前線に置いたチェルシーは、序盤こそ早目に前線からのアプローチを仕掛けましたが、気づけばいつものように細かいパスを回させないような守備ブロックを作る形になりました。オリビエ・ジルーにはCBのジョン・テリーとガリー・ケーヒルががっちりとついて仕事をさせません。

最初にビッグチャンスを作ったのはチェルシー。前半15分、この日ボランチに入り、守備時は主にメスト・エジルを見ていたセスク・ファブレガスが素早い動きでロングパスを送ると、オスカルが飛び出してきたダビド・オスピナをかわそうとループシュートを放ちます。しかしギリギリのところでエクトル・ベジェリンがヘッドでクリアして難を逃れました。

その後もロングパスを使うなどして、シンプルに縦に攻撃を仕掛けていきます。38分にはウィリアンがドリブルで持ち込み、右足アウトサイドでラミレスに絶妙なパスを送ります。ラミレスのシュートはコースを狙った力ないもので、オスピナが体を倒してキャッチしました。

34分にボールがケーヒルの腕に当たり、ハンドによるPKかという場面はありましたが、ほとんどの時間は中央をきっちり締めてアーセナルに崩させません。

ハーフタイム明けには前述の決定機にオスピナと衝突したオスカルに代え、ディディエ・ドログバが投入され、セスクが一列前にポジションを上げました。

それでもチェルシーは慎重に無理をしないボール回しをして時間を使います。前半に見せた果敢な攻撃は鳴りを潜めてしまいました。失点をしないことを最優先した戦い方にシフトしたと言えます。

そこでアーセナルが決定機を作れたかというと、そうでもなく、後半24分のFKのこぼれ球に反応したペア・メルテザッカーのシュートはフリーだったにもかかわらず枠を外れ、31分にオーバーラップしたローラン・コシールニーからのマイナスのクロスを受けたサンティ・カソルラのシュートも、ゴールの右側を通過していきました。

終盤の選手交代は対照的でアーセン・ベンゲル監督はセオ・ウォルコット、ダニー・ウェルベックを入れたのに対し、ジョゼ・モウリーニョ監督はセスクに代えてクル・ズマを、アディショナルタイムには守備にも奮闘していたウィリアンに代えてフアン・クアドラードを投入しました。

46分のナチョ・モンレアルのグラウンダーのクロスに反応したエジルとウェルベックのシュートが不発に終わり、結局スコアレスドローで試合は終了しました。直後、ジョン・テリーやセサル・アスピリクエタの顔には笑顔が見られました。彼らにとっては申し分ない結果だということがはっきりと表れていました。

ホームの横浜が湘南のサッカーをやらせないまま90分を終えた試合でした。

試合が動いたのは、前半9分。齋藤学が二人に囲まれながら最前線にいる兵藤慎剛に縦パスを通すと、兵藤がヒールで落とし、アデミウソンがペナルティアーク付近でダイレクトで合わせてゴールを決めました。コンパクトな振りで遠藤航のタックルもおよびませんでした。

当然、湘南は取り返さなければならないのですが、守備から入る横浜相手に攻め込めない展開が続きます。こうなると得意のカウンターもなかなか仕掛けられません。かといって、遅攻からの連動した崩しができないため、永木亮太や遠藤がミドルシュートで打開を図ろうとするも、ゴールには至りません。

また、1トップのブルーノ・セザルにボールが収まらなくてカウンターが失敗に終わったシーンも26分、27分と立て続けに見られました。

逆に横浜は30分、右サイドから左に揺さぶり、下平匠がクロスを上げると、アデミウソンがヘッド。ここは秋元陽太がセーブしました。

後半に入ると、湘南はひたむきに守ってチャンスをうかがいますが、秋元はさらに忙しくなります。12分には齋藤が、17分にはアデミウソンがゴールを脅かし、それらをセーブして難を逃れました。

すると横浜は湘南のお株を奪うようなカウンターを披露して、チャンスに結びつけていきます。35分、富澤清太郎がスライディングでボールを奪うと、ラフィーニャとアデミウソンでカウンターを仕掛け、最後はアデミウソンがシュートを放ちますが、サイドネットを揺らすにとどまりました。

そして40分、高い位置で喜田拓也が菊地俊介からボールを奪い、ドリブルでペナルティエリアまで運ぶと、最後は並走していた齋藤に預けます。齋藤は左足で合わせてファーサイドのネットに流し込みました。勝利を確実にする2点目が生まれました。

49分にはキム・ジョンピルのパスを自陣でCBのファビオが阻止し、クリアされたボールをラフィーニャが収めてドリブルをスタート。湘南DFを引き付けてからフリーの富澤にボールを渡し、富澤が3点目をゲットします。

湘南は遠藤のシュートがクロスバーを叩く場面もあったものの、中澤佑二を中心にした横浜の守備網を最後まで破りきれず、3試合連続無得点に終わってしまいました。

パスサッカーを標榜する川崎が自陣で引いた甲府を圧倒し、3対0の完封勝利を収めました。

前半から焦れずに我慢強くテンポのいいパス回しをして、甲府ディフェンスの穴を探っていきますが、バイタルエリアから先を打開する手立てがなかなか見つからず、ミドルシュートが多くなりました。11分には大久保嘉人、20分にはレナト、23分には中村憲剛がペナルティエリア外からシュートを打ちますが、決まりません。

それでも35分頃から次第に甲府の足が止まり始め、ボールウォッチャーになりかけると、38分に待望の瞬間が訪れます。右サイドでボールを回し、中央の中村にボールが渡ると、鋭い縦パスを送ります。ここで小林悠が稲垣祥に倒されてしまいます。レフェリーの判断をあおごうと、甲府の選手が一瞬止まる中、走り続けた中村は最前線にいた大久保にパスを供給します。大久保は左足でトラップし、すぐさま右足を振り抜きます。ボールはポストを直撃し、ゴールネットに吸い込まれていきました。

後半に入ると前半しきりに打っていたミドルシュートをあまり打たなくなり、あくまでもパスで崩そうとします。そして14分、小林がプレスをかけて阿部祥平のパスミスを誘発させると、大島僚太がこのボールを奪います。そして大久保、中村と繋いで、最後はレナトがゴールエリアの角からシュートを放ちます。最後は畑尾大翔に当たり、コースが変わりましたが、記録はレナトのゴールとなりました。

その後も中村、レナト、大久保を中心に甲府ゴールを脅かします。33分にはレナトのスルーパスに大久保が反応してドリブルからシュートを放ちますが、ここは荻晃太に止められてしまいました。

とどめを刺したのはアディショナルタイムに入った47分。中村が中盤で甲府ディフェンスの間を通したパスをレナトに送ると、レナトは津田琢磨をかわして右足でゴールを奪いました。

大久保のJ1通算得点は三浦知良の139点を超えられませんでしたが、この快勝で川崎は暫定2位に浮上しました。一方の甲府はプレスが単発で、ファウルで止められることもできず、川崎にいいようにやられてしまい、失点を重ねてしまって6敗目を喫しました。

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