前節、沖縄でのホームゲームを1対0の辛勝で終えたINACが、神戸に戻った今節は逆転勝ちを収めました。

序盤は完全にジェフペース。豊富な運動量でINACの選手を囲い込み、攻守において圧倒します。そして前半3分、34分と筏井りさにゴールを奪われます。いずれも1トップの菅澤優衣香に神戸DFが引き付けられたところを狙われ、ほぼフリーにさせてしまいました。また後者は山根恵里奈のロングキックから生まれました。

2点目を失った直後の36分、すかさず松田岳夫監督が動きます。南山千明に代えて増矢理花をピッチに送り出したのです。この投入を合図に、INACは重い腰を上げるかのように前に出ていきます。

すると44分、増矢も絡んで得たCKから、甲斐潤子が追撃弾を決めました。先週のベガルタ仙台レディース戦では、CKからのシュートが二度ポストに阻まれましたが、この日はゴールが必要な場面でネットを揺らしました。

後半に入ってもINACの、とりわけ増矢の勢いは衰えません。8分に鮫島彩がスルーした京川舞のクロスを受けて際どいシュートを放つと、14分には大野忍が展開したボールを川澄奈穂美がダイレクトで相手DFとGKの間にクロスを入れ、それを増矢が飛び込んで合わせました。

3分後には川澄のクロスが一度は弾かれたものの、近賀ゆかりがやや斜め前にいた増矢に預けると、増矢は一瞬で千野晶子を振り切り冷静にフィニッシュ。ついに試合をひっくり返しました。

ジェフは中盤でつぶしに行けなくなり、22分に追加点を献上します。澤穂希が中盤でボールを奪うと、こぼれ球を伊藤香菜子が収めてドリブルし、外側を回って走った増矢にボールを預けます。ペナルティエリア付近まで来た増矢がグラウンダーのクロスを入れると、山根より速くボールに追い付いた京川が決めたのです。INACはわずか8分間で3得点を奪ってしまいました。

32分には千野のクロスを受けた菅澤が落ち着いてシュートを決めましたが、千葉の反撃もここまで。終盤、CKから波状攻撃を仕掛けるも、INACが耐え抜き、実りませんでした。

結果、ビハインドの状況下で早々に増矢を入れたINACが試合を制し、首位をキープしたままワールドカップの中断期間に突入することとなりました。