前半30分までにあっさりと2失点を許した鹿島でしたが、最後まで粘り強く攻め続けた結果、逆転で勝ち点3を獲得しました。

最初の失点は3分、大きく蹴り出したい場面で昌子源がミスを犯し、ボールが梁勇基に渡ってしまいます。梁はすぐさま野沢拓也に任せると、野沢は必死で戻ってきた西大伍をかわして左足を振り抜きました。

そして27分、六反勇治のFKを金園英学がファン・ソッコに競り勝って落とすと、そのボールが西の頭上を越えて野沢に渡り、加点しました。

鹿島はなかなか最前線にいい形でボールが繋がらず、六反を脅かすようなシュートも打ち切れませんでした。次第に2トップとサイドハーフがベガルタの最終ラインに並ぶ4トップ気味になってしまい、攻撃時のボランチの負担が大きくなっていました。

すると35分、石井正忠監督は中村充孝に代えてカイオを投入します。その後しばらくは攻めあぐねる状況が続いていましたが、42分に反撃ののろしを上げます。

まず高い位置でカイオがボールを奪うと、赤崎秀平がペナルティエリアを横断してドリブルをして右サイドにパスを出します。これを受けた西がクロスを上げ、西がボールを受ける直前から走ってゴール前に向かった山本脩斗が頭で合わせてゴールを決めました。

ハーフタイム明けにはダヴィを下げて、金崎夢生がピッチに入り、戦い方も少し変えてきました。前がかりだった前線の選手を、仙台のアンカーである富田晋伍のあたりに下げるようにして、ボールが繋がりやすい形をつくりました。

後半5分には遠藤康がカイオとワンツーを決めてクロスを上げ、6分には遠藤がすばやい切り替えでボール奪取に成功すると、これをカイオがキープして反転し、シュートを打ちました。このシュートは六反にセーブされるも、こぼれたボールが金崎の前に転がり絶好機が訪れました。しかし金崎のシュートはバーを大きく越えました。

鹿島の勢いを削ぐため、仙台は野沢を下げてキム・ミンテを入れ、4-1-4-1からボランチを増やした4-4-2にシフトします。これで多少ボランチのエリアに入りにくくはなったものの、アントラーズは意識してボランチと最終ラインの間に選手が入ろうとしていました。

35分、石井監督は最後のカードを切り、赤崎に代えて土居聖真を送り込みます。

2分後、その土居が同点弾を挙げます。山本が中盤でサイドチェンジをすると、フリーの西が頭で折り返します。ゴール前では仙台守備陣が柴崎岳に気を取られ、マークの緩かった土居がヘディングシュートを決めました。そばにいた石川直樹は悔しさを露わにします。

さらに4分後の42分、ベガルタの選手が下がり気味になっていてぽっかり空いた中盤でボールを回し、遠藤のパスを受けた柴崎がワンタッチでスピードを殺した浮き球のラストパスを供給します。それを察知して走った土居が右足でゴールネットを揺らしました。見事な逆転劇でした。

鹿島に終始押し込まれ続けた仙台には同点に追い付くための運動量がなかったようで、終盤は選手の足が止まっていました。したがって3対2のままタイムアップを迎えます。この痛快な逆転劇によって、鹿島は2ndステージ首位に躍り出ました。