サッカー解説者というのは十人十色で、実にさまざまなタイプの方が放送席に座ります。笑わせてくれる人、現地メディアの評価を教えてくれる人、終始発言が厳しい人、話し出すと止まらないくらい細かく解説してくれる人、シニカルなコメントが多い人などなど実に個性豊かです。その中で今、もっともおもしろく聞いていられる解説者の一人が戸田和幸です。

まず何より明るくはきはきとしたしゃべりが聞いていて気持ちがいいです。低いトーンで落ち着いたしゃべりをする方も悪くないですが、戸田は37歳ではありますが好青年の印象を抱かせます。

第二にハードワークの成果として、チームの近況や特徴、プレースタイルを簡潔に話してくれるところです。一般論に終始しない説明のおかげで目の前で戦うチームがどんなチームなのかがわかり、あまり見ないチームの試合でも深みが増して楽しめます。

加えて、解説にとって大事なプレー分析の的確さを備えています。本来、解説とはこうあるべしというのを示してくれているようです。たとえば、NHK BS1のケルン対フランクフルトでのケルンのアクシデントから生まれたような先制シーンでは、「(CBの)ルスがやっぱり前に出た時点で、(両SBの)チャンドラーとオチプカがもう少し内側にキュッと絞らなきゃいけないと思うんです」とフランクフルトの最終ラインの対応の甘さを指摘しました。

また歯に衣着せぬ物言いも魅力の一つです。前述の試合では、フランクフルトのトーマス・シャーフ監督の采配について「采配がちょっとチームを壊したということは否めないですね」とピシャリ。

ほかにも以前、ミランの試合で右サイドの本田圭佑に代わってアレッシオ・チェルチが入った時に、チェルチが守備をしないことを「解せない」と言ったり、先週の『Jリーグタイム』では、ガンバ大阪対FC東京での誤審についてはしっかりジャッジすべきだったと審判に苦言を呈しています。

単純に試合を楽しむならば、居酒屋解説でおなじみ、地上波での松木安太郎の右に出る方はいないと思いますが、じっくりサッカーを観たい時は戸田解説が理想的です。BS1で戸田が日本代表のワールドカップ予選の解説を務めることになった場合には、テレビ朝日かBS1かどちらで観るのがいいか悩んでしまいそうです。