序盤にペースを握ったのは札幌でした。攻撃ではロングボールを多用して千葉の守備を自陣に押し込み、守備では当たりの激しさで自由を与えません。千葉はその勢いに負けて寄せが甘く、引き気味になる場面もありました。

さらに悪いことに水野晃樹が稲本潤一との接触により、前半24分で負傷退場する誤算もあり、リズムをつかむことができません。

ようやくペースをつかみ、ボールが回り始めたのは30分ごろからでした。水野に代わって入った矢澤達也も絡んで相手ゴール前に迫れるようになってきました。

すると46分、ゴール前に抜け出した森本貴幸がク・ソンユンに倒されてPKを獲得。札幌は福森晃斗が残っていたため、オフサイドにはなりませんでした。これをネイツ・ペチュニクがきっちり決めて先制します。

先制した勢いを持って後半に臨みたかったはずのアウェイチームは、再び防戦一方の苦しい状況に追い込まれます。1点ビハインドの札幌がペナルティエリアまで積極的に入ってきたのです。

後半1分には小野伸二のシュートが都倉賢に当たってポストを直撃。19分には福森のクロスを石井謙伍が折り返し、荒野拓馬が頭で合わせます。荒野のシュートは高木駿がかろうじてかき出し、ゴールラインを完全には割っていないという判定になりました。これには都倉が熱くなり警告を受けてしまいます。

そして24分、石井が小野とのワンツーを決めるとクロスを上げ、それを福森が下がりながらのヘディングでフィニッシュ。ついに同点に追い付かれてしまいました。

千葉が後半最初のシュートを打てたのは、失点から5分後の29分でした。中村太亮に代わって投入された金井貢史のクロスがそのままゴールに到達したのです。クロスに合わせに行ったペチュニクがク・ソンユンの視界を遮ったのも奏功し、再びリードを奪います。

ところが2分後、またもや試合を振り出しに戻されてしまいます。福森のシュートを北爪健吾がブロックしたこぼれ球を河合竜二がダイレクトで上げると、上原慎也が頭で繋ぎ、最後は石井が押し込みました。

流れは札幌に傾き、51分、ク・ソンユンまでもが上がったCKからの流れで、福森のクロスを上原慎也が合わせて逆転。千葉は引き分けで終えることさえもできず、最後の最後で勝ち点がすり抜けていきました。

惜しむらくは36分、パウリーニョのFKから金井のクロスと大岩一貴のシュートがブロックされてしまったことが悔やまれます。あそこで決まっていれば、札幌の勢いを削ぐことができたかもしれません。結局、この試合では昇格プレーオフ圏内に近づけないまま試合が終わってしまいました。