バルセロナは試合開始からゆったりとかつ圧倒的にボールを支配し、広州の守備の穴を探してボールを動かしました。その中心になったのは、アンドレス・イニエスタでした。依存し過ぎではないかと思われるほど、イニエスタにボールが集まり、そこからラストパスが供給されます。

前半23分にはそのスルーパスにムニル・エル・ハダディが抜け出し、シュートを打ちました。ここは李帥が判断よく飛び出し防ぎます。

広州はボランチのパウリーニョがイニエスタに、鄭智がイバン・ラキティッチにつき、ブロックを敷いて応戦しました。そしてカウンターに活路を見出そうとしますが、6分、12分の攻撃はいずれもハビエル・マスチェラーノに阻止されてしまいました。

試合が動いたのは39分でした。一時的にパウリーニョと鄭智のマークする相手が逆になってから少しして、イニエスタにボールが渡り、中央に持ち込もうとした時にパウリーニョも潰しに行ったため、ラキティッチがフリーになります。そこでイニエスタからボールを受けたジョルディ・アルバがラキティッチに預けると、クロアチア人MFは迷わず右足を振り抜きます。強烈な無回転シュートは李帥が止めましたが、ルイス・スアレスが押し込んでバルサが先制しました。

それでも直後、アジア王者が鄭龍のプレースキックからチャンスをつくります。41分にはFKにエウケソンが、44分にはCKからパウリーニョが頭で合わせてゴールを狙いました。ただ、クラウディオ・ブラボの好セーブとジェラール・ピケのヘッドによって防がれてしまいました。

こうして試合は最少得点差で折り返すことになりましたが、後半開始早々の5分にイニエスタのリターンを受けたスアレスがトラップから流れるようにシュートを決めて、バルセロナがリードを広げます。いい時間帯に加点して、広州の選手達の気持ちを削ぐことに成功しました。

さらに21分、ダニエウ・アウベスのノールックパスを受けたムニルが、黄博文に倒されたとしてPKの判定が下されます。これをスアレスが豪快に蹴り込み、クラブワールドカップ史上初となるハットトリックを達成。試合を決定づける1点が決まりました。

ルイス・エンリケ監督はそこからようやく選手交代を開始します。36分にイニエスタを下げるまでにかかった時間はわずか9分。一気に3人を入れ替えました。

その後は代わって入ったサンドロ・ラミレスやスアレス、セルヒオ・ブスケツ、ムニルがシュートを放ちますが、得点には至らず、3対0で試合は終了しました。バルサは確実に勝利を収め、楽々と決勝に駒を進めました。

広州は流れの中ではいいところがなく、パウリーニョ以外は目立った動きをした選手がおらず、右SBの張琳凡の効果的な攻め上がりも見られませんでした。アジアではビッグクラブと呼ばれるチームが、公式戦においてこれほどまでにほとんど何もできなかったというのは少々残念ではあります。