リーグ開幕前の一発勝負とあってか、前半は互いにディフェンシブな、慎重な45分となりました。広島はミハエル・ミキッチ、柏好文の両サイドを生かした攻撃で、ガンバは前線の4人が連動したすばやいパス回しでそれぞれ打開を図りましたが、見せ場は少なく、前半19分の阿部浩之のシュートくらいしかチャンスらしいチャンスはありませんでした。

試合が動いたのは、エンドが変わった後半。ガンバが攻撃への意欲をはっきりと見せたことによって、広島がカウンターで応戦する形になってからでした。

後半6分、自陣でアデミウソンが落としてややルーズになったボールを佐々木翔が奪い、茶島雄介、青山敏弘、塩谷司とつながり、塩谷がクロスを入れます。そこに飛び込んだ佐藤寿人が左足を合わせ、広島が先制します。佐藤の点で合わせる技術の高さが見られたゴールでした。

1点を追いかけるガンバに不運が訪れたのが、その4分後でした。柏のクロスをペナルティエリア内で丹羽大輝が顔でブロックしたものの、飯田淳平主審の判定はハンド。PKをとられてしまったのです。これを代わったばかりの浅野拓磨が豪快に決めて、点差が2点に広がりました。

長谷川健太監督は流れを変えるべく、この日は迫力を欠いていたパトリックとアデミウソンを下げて、長沢駿と倉田秋を同時投入します。

すると23分、自陣深い位置からの丹羽のパスを絶妙なトラップで受けた倉田が右サイドに展開。阿部がフリーの状態で持ち込み、クロスを上げました。その先にいた宇佐美貴史が飛び込んで、ゴールネットを揺さぶります。

しかし大事な次の1点は広島にもたらされます。失点直後に入ったピーター・ウタカが、遠藤保仁のクリアしたボールをダイレクトで合わせ、ゴールに突き刺しました。積極果敢に得点を狙う姿勢が、いい結果をもたらした格好です。

以降は心理的に優位に立った広島がペースを握り、ガンバはボールを持っても相手の堅い守りに攻めあぐねる展開が続きました。それでも41分に宇佐美が粘ってシュート、44分にはオ・ジェソクのマイナスのパスを受けた井手口陽介がゴールを狙いましたが得点には結びつきません。

結果、広島が3対1で勝利を収め、開幕前の一戦をものにしました。大会連覇に挑んだガンバにとっては、かえすがえすも決勝点となったPKの判定に泣く形となりました。