厳しい暑さのもと、立ち上がりから互いに潰し合う激しい展開の中、その速さでやや上回るベレーザがペースを握ります。

前半4分に籾木結花の縦パスに抜け出した田中美南がシュートを打ち、14分には阪口夢穂の縦パスを生かした田中美南が籾木に繋いで、籾木がダイレクトでゴールを狙いました。

しばらく苦しんでいたINACがベレーザのスピードに慣れてきたのは、前半半ばの給水タイムが終わってからでした。徐々にボールの回りがよくなり、少しずつゴールに迫っていけるようになりました。

34分、中島依美が長谷川唯のタックルをドリブルでかわしてパスを出し、大野忍が落とすと、最後は杉田妃和がシュートを打ちにいきます。しかしここは中里優が体を張って阻止しました。

43分には近賀ゆかりのクロスを京川舞が頭で合わせようとするも、十分に当たり切らず、山下杏也加にキャッチされます。

流れがINACに若干傾きかけているのを見て、森栄次監督はハーフタイム明けに隅田凛と上辻佑実を同時投入します。そして右サイドバックを務めていた清水梨紗をセンターバックにコンバートしました。

それでも後半最初のビッグチャンスはINACに訪れました。後半7分、守屋都弥が前方のスペースに出したボールに鮫島彩が追い付いてクロスを入れると、京川がシュートを放ちます。一度目はヒットしきれず、二度目は山下にセーブされてしまいました。

そして16分、中島のコーナーキックを甲斐潤子が頭で繋ぎ、田中明日菜がコースを変えて先制します。

INACは追加点を挙げるべく、縦への意識の強さを見せ続けていきました。ただ、最終ラインの裏へ出すボールがほとんど流れてしまい、チャンスには至りません。また、左サイドハーフとして何度もスプリントしていた鮫島が31分に足をつってしまい、交代を余儀なくされます。

すると34分、長谷川に代わって入った植木理子が、田中明日菜と京川をかわして強烈なシュートをサイドネットに蹴り込み、得点にこそならなかったものの試合の流れが変わります。3分後、阪口のふわりとしたクロスを植木が頭で合わせ、同点に追い付いたのです。

終盤は両チームに大きな決定機が生まれました。まず41分にカウンターから守屋がクロスを入れ、増矢理花がトラップしてシュートを放ちます。山下がセーブし、少しこぼれたボールに高瀬愛実が詰め寄りますが、山下が押さえたため及びません。

逆にベレーザは44分、籾木のコーナーキックを岩清水梓が頭で合わせます。しかし、クロスバーに嫌われてしまい、セカンドボールを中里が狙いましたが、杉田が体を投げ出してシュートをブロックします。前半とは逆の形になりました。

アディショナルタイムに入っても球際の激しさの衰えなかった試合は、両者譲らず、1対1のままタイムアップを迎えました。負けはしませんでしたが、INACはまたしてもベレーザに勝つことができませんでした。